自己PRと自己紹介の違いを例文を交えてご紹介します 

 

自己PRと自己紹介の違いを例文を交えてご紹介します

 

新卒の就職活動や社会人の転職活動では、書類選考を経て面接を受ける場合が多くなります。その書類においても、自己PRの文章を書いてアピールしますが、面接でも大抵の場合、それを直接対面で行います。

 

また、自己PRとは別に、その前に自己紹介を求められることもあります。

 

両者は同じく「自己」と名がつくものであり、自分のことを語る点では共通していますが、「紹介」と「PR」という点では異なります。

 

はたして、一体何が違うのでしょうか?その違いを踏まえて、それぞれどのように行えばよいのでしょうか。

 

新卒の学生は職に就くのが初めてなのでわからないでしょう。また社会人でも転職が初めてなら、判断に迷いますよね。

 

さらに、場合によってはどちらも同じでOKということも考えられます。そのケースでも、どう対処したらよいのか困るでしょう。

 

そこで今回は、自己紹介と自己PRの違い、それらが同じでOKの場合について、ご説明します。さらにそれを踏まえて、就活と転職のそれぞれの場合で、自己紹介と自己PRをどうすればよいか、面接を想定し例文を交えてご紹介しましょう。

 

これらを参考にして、面接で臨機応変に冷静に自分の紹介やアピールができるようにしてくださいね。

 

 

自己PRと自己紹介の違い

 

自己紹介について

 

自己紹介とは、自分の基本的な情報を、志望先に向けて簡潔に説明することを言います。

 

具体的には、新卒の就活であれば、氏名、出身の学校・学部・学科、主な専攻、趣味や特技、学生時代に力を入れていた活動内容について述べます。

 

また、社会人の転職活動の場合は、氏名、前職の業種・職種、主に経験してきた仕事内容、それを通じて特に力を入れていたことなどに言及します。仕事の経験がある分、趣味や特技よりもやはり仕事に関することを述べるほうがよいでしょう。

 

この自己紹介の目的は、まず上記のように、自分がどういう人間なのかを相手に知ってもらうことにあります。面接で初めて会うのですから、まずは挨拶代わりに「私はこんな人間ですよ」と説明するわけです。

 

また、お互いに初対面である以上、いきなり志望動機や質疑応答などの本題に入るのは唐突すぎて違和感があります。

 

そこで、緊張感を解きほぐすアイスブレイキングの意味でも、自己紹介は必要でしょう。

 

さらに、書類を通じて基本情報をわかってもらっているはずですが、直接会って自分の口で述べることにも意味があります。表情や話し方、態度や意欲といった点に注意して述べることで、自分の人柄や姿勢を知ってもらうことも重要なのです。

 

自己PRについて

 

一方で、自己PRとは、自分の強みを志望先に向けて詳しく説明してアピールすることを言います。具体的には、自分の強み、それを得た経験、それを志望先に生かす意欲です。

 

このうち経験について、新卒の就活の場合は、学業やアルバイト、クラブ・サークル活動などになります。一方社会人の転職活動の場合は、前職までの職務経験、職務以外の自主的な学習などの経験となります。

 

この自己PRの目的は、特に自分の強みをしっかりとアピールし、それを生かして志望先に貢献できることを相手にわかってもらう点にあります。自分がいかに志望先にとって必要な人材なのかを訴えることが大切になります。

 

自己紹介も自己PRも、ともに自分のことを志望先に伝える点では共通しています。

 

しかし、自己紹介は自分という人間を知ってもらう程度なのに対し、自己PRは強みを強調し相手に役立つことをしっかり訴えるという点で異なります。

 

注意点

 

このように、伝える内容やその目的が、自己紹介と自己PRとでは違うのです。

 

これをよく理解して、相手がどちらを求めているのかを把握し、間違えないように述べるようにしましょう。

 

また、自己紹介を行う際には、その後に続くであろう自己PRのことも、予め念頭に置いておく必要があります。自己紹介のところで説明したように、特に力を入れていたことに、簡単でよいので触れておくのです。

 

具体的には、自分が時間と労力を割いて取り組んだ経験と、そこで得たもので自分の強みとしてアピールできそうな点について、さり気なくという程度で示しておきましょう。

 

例えば、新卒就活の場合、外食チェーンで接客のアルバイトをした経験と、そこで顧客第一の姿勢で仕事をしてきたことについて触れておきます。そうすれば、それを受けて、コミュニケーション能力という強みを、自己PRで自然な流れで述べられます。

 

社会人の転職では、人事部に長年所属し、採用から労務管理まで幅広く人事業務をこなしてきたことを紹介しておきます。そうすることで、人事に精通し、その知識とスキルが十分身についているという強みを、自己PRで自然に訴えられます。

 

いずれにしても、自己紹介を求められたから、ただ何となくそれだけ独立して行うのでは、その後の流れが不自然で違和感が生じてしまうということです。

 

また、流れが読めていない人物だとして、マイナスの印象も持たれるでしょう。

 

それを避けるためにも、面接全体の流れをイメージして、自己紹介から自己PRへと自然な流れでつなげていくことを意識すべきです。それにより、自分自身も納得して自信を持って話せるようになるはずですよ。

 

自己PRと自己紹介が同じでOKなケース

 

上記のように、たしかに自己紹介と自己PRとでは内容や目的が違います。また、実際両者を分けて聞かれることもあるので、混同しないように注意して述べなければなりません。

 

ただ場合によっては、両者が同じでOKなケースもあります。

 

例えば、面接時間があまりない場合です。大企業で応募者が多数いて、一日に数多くの面接をしなければならないケースもあります。

 

その場合、一人一人にじっくり時間を割いて詳しく面接することは困難になります。そうなると、自己紹介と自己PRをいちいち分けて聞くのは難しくなりますし、面倒ですよね。

 

あるいは、志望先や面接官の判断で、あえて両者を逐一分けずに聞いて来るケースもあります。自己紹介の目的は、すでに述べたように、人物像や人柄を見たり、緊張感を緩和させたりすることにあります。

 

しかし、人物像や人柄は、面接を通して話しているうちに十分判断は可能です。

 

また緊張感も、最初に世間話などをして緩和することもできるでしょう。それならば、いちいち最初に自己紹介の時間を設ける必要はなくなります。

 

こういったケースでは、自己紹介と自己PRを特に分けずに、うまくひとまとめにして話しましょう。特に重要なのは自分の強みを志望先にアピールすることなので、自己PRに重点を置き、その導入部分でプロフィールを示せばよいでしょう。

 

いずれにしても、面接では相手のあることなので、杓子定規に対応するのではなく、相手の反応を見て臨機応変に対処することが大切です。両者を分けた方がよい時はそれぞれ個別に説明し、同じでOKならまとめて述べましょう。

 

【就活】自己PRと自己紹介の例文

 

以上は一般的な説明でしたが、それだけではイメージがつきにくいですよね。そこでここからは、具体的な例文を取り上げながらご説明します。

 

まずは、新卒の学生が就活で面接を受ける場合を想定してみましょう。

 

最初に、志望先の面接官から「簡単に自己紹介をしてください」と言われた場合です。例えば、あなたがシンクタンクで調査分析などの仕事を希望しているとしましょう。

 

「〇〇と申します。〇〇大学経済学部経済政策学科に所属しております。これまで主に、マクロ経済の動向と経済政策の有効性を研究してきました。塾講師のアルバイトもしてきましたが、そこでも生徒の成績を分析して対策を考えてきました。そのように、物事の流れを調べて分析し、今後どうすべきかを考えるのが好きで、様々なことでそれを行ってきました。どうぞ宜しくお願い致します。」

 

このような感じです。前にもご説明したように、氏名と所属を伝えます。そのうえで、主な専攻を説明し、それを含めて学生時代に力を入れてきたことを簡潔にわかりやすく述べます。

 

次に、それに続いて面接官から「自己PRをしてください」と言われた場合、どうアピールすればよいでしょうか。これも上記の例で考えてみましょう。

 

「私の強みは今お話したように、調査分析・提案力であり、先ほど触れたアルバイト経験で特に養いました。各生徒の一定期間の成績の傾向を把握し、性格・学習の環境や方法などから原因を分析し、学力向上のための対策を考え提案しました。対策も、優秀な生徒のやり方を研究し、書籍やネット、他の先生からヒントを得るなどして、最適なものを考えました。こうして得た調査分析・提案力を、経済動向分析と政策提案の仕事に生かし、貴社と社会に貢献したいと考えております。」

 

このような感じになります。

 

これも前述のように、自分の強みを明らかにしたうえで、その根拠となる経験を説明し、最後にそれを志望先での仕事に生かす意欲を訴えます。広く社会に貢献する意志まで示せるとなおよいでしょう。

 

今回はアルバイトを例に挙げましたが、もちろん学業やクラブ活動など他の経験を取り上げてもよいでしょう。

 

また、力を入れたことを自己紹介で触れておき、そこで得た強みを自己PRで訴える、というようにスムーズな流れにしましょう。

 

【転職】自己PRと自己紹介の例文

 

次に、社会人が転職活動で面接を受ける場合を想定してみます。

 

例えば、銀行の営業職から、人材紹介会社のキャリアコンサルタントへの転職を希望しているとしましょう。まず自己紹介は以下のような感じです。

 

「〇〇と申します。前職では地方銀行で法人営業を担当しておりました。これまで主に、既存の法人顧客に対する取引の継続に加え、新たな貸出先の発掘にも力を入れて来ました。また就業時間外でも、社外の勉強会やセミナー、知人との食事会などに参加し、多くの人と交流を深めて来ました。どうぞ宜しくお願い致します。」

 

これも前述のように、氏名と前職の業種・職種を明らかにし、これまで主に経験してきた仕事内容と、それを通して特に力を入れてきたことなどを、簡潔にわかりやすく伝えます。

 

その次に自己PRですが、これも上記の例で考えてみましょう。

 

「私は、相手と緊密に意思疎通を図りながら、問題解決していく力には自信があります。銀行の新規開拓営業では、初見のお客様でも話しやすい雰囲気を作り、押し付けではなく相手の真意を汲み取ろうと努めました。それを基に、融資に限らず、事業承継や資産運用など根本的な問題の解決を支援してきました。そこで得たコミュニケーション力と問題解決力を生かし、転職志望者と深い信頼関係を築き、最適な求人先を提案したいと考えております。それにより、転職志望者と求人募集会社の役に立ち、それを通じて貴社の業績向上にも貢献していく所存です。」

 

たしかに未経験の業種・職種からの転職ですが、共通して生かせる経験とスキルに着目しましょう。それを自己紹介でさり気なく触れておき、自己PRではより詳しく強みとしてアピールしていけば、自然な流れで説得力が強まります。

 

まとめ

 

自己紹介は、自分の氏名や所属、経験や注力してきたことなど、基本情報を志望先に簡潔に示すものです。一方自己PRは、特に自分の強みを志望先に生かし貢献する旨をアピールするものです。

 

どちらも自分のことを相手に説明する点では同じです。

 

ただ、自己紹介が挨拶代わりや緊張の緩和などのために端的に示すのに対し、自己PRは志望先に必要な人材であることを詳しく述べて訴える点では異なります。

 

よって、面接官がどちらを聞いているのか、それぞれの目的は何なのかをしっかりと理解して、間違えないように答えることが大切です。

 

ただし、面接時間が限られていたり、両者を特に分けずに聞かれたりした場合にまで、杓子定規にこだわる必要はありません。その際は両者をうまくひとまとめにし、自己PRに重点を置きながら述べるとよいでしょう。

 

なお、自己紹介に関しては、ただ漫然とするのでは意味がありません。その後自己PRで強みをアピールすることを念頭に置き、それを養った経験にさり気なく触れておきましょう。

 

このように、自己紹介から自己PRへと、自然に違和感なくつなげて述べられれば、自分も納得して話せますし、面接官もわかりやすさと説得力を感じながら聞いてくれて好印象を持ってもらえるでしょう。

 

また、新卒の学生が就活をする場合と、社会人が転職活動をする場合とで、自己紹介と自己PRの仕方に基本的な違いはありません。

 

ただ、社会人の方が仕事の経験がある以上、それをより生かした説明ができますし、そうすべきです。

 

新卒就活と社会人転職のそれぞれの場合について、今回例文を挙げてご説明しました。それを一つの参考にして、上手くアレンジしながら、自分の場合に応用してみてくださいね。